VBAで特定のaタグのリンクURLをクリックするプロシージャ

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エクセルVBAでHTMLエレメント実践操作
aタグのリンクをクリックするプロシージャ

指定した要素のリンクをクリック

前回は、指定した要素のリンクをクリックする方法について解説しました。こちらはこれまで説明してきた処理を利用して簡単にリンクをクリックできたかと思います。今回は、文書ドキュメントの指定した要素のリンクをクリックするサブルーチンの作成について解説していきます。

DOM(Document Object Model)とは
HTML(HyperText Markup Language)とは
タグと要素(エレメント)の違い
target属性とは
利用するサブルーチン・プロパティ・VBA関数について
指定した要素のリンクをクリックするサブルーチン「linkClick」の解説
「linkClick」を利用して指定した要素のリンクをクリックするサンプルコード
- クリックする要素のHTMLコード
- 解説
まとめ

DOM(Document Object Model)とは

DOMとは「Document Object Model」の略称で、html・head・body・p・aなどのHTMLドキュメント要素にアクセスして取得や操作ができる仕組みのことです。

以下はHTMLドキュメントをツリー構造に表したものでDOMツリーと呼ばれます。階層状のツリー構造でHTMLドキュメントを表現します。

HTML(HyperText Markup Language)とは

HTMLとは「HyperText Markup Language」の略称で、Webページを作成するために開発された言語です。世の中に公開されているWebページのほとんどがHTMLで作成されています。こちらのサイトもHTMLで作成されています。

HTMLは基本的に以下のような構成でできており「<タグ名>★テキスト★</タグ名>」が1つの要素(エレメント)になります。この中の特定の要素に対してデータの取得や操作を行っていきます。

<html>

 <head>

  <title>VBAのIE制御</title>

 </head>

 <body>

  <p>こちらはpタグのテキストです。</p>
  <a href="★リンクURL(アドレス)★">リンクのアンカーテキストです。</a>

 </body>

</html>

タグと要素(エレメント)の違い

HTML言語では、「タグ」と呼ばれる仕組みを利用して構築していきます。以下のイメージを確認すると分かりやすいと思いますが、タグとは「<」と「>」で構成されており、開始タグと終了タグまでの括りで1つの要素を形成します。

具体例で説明するとWebページのURL(アドレス)を表す「titleタグ」を利用して開始タグの「<title>」と終了タグの「</title>」で括り、タグの中の文字列が「要素内容」となります。こちらでは「VBAのIE制御入門」の文字列が要素内容となります。

そして、こちらの「開始タグ+要素内容+終了タグ」の全体を「要素」と呼びます。また、別名では「エレメント」と呼ばれますので、どちらも同じ意味であることを理解してください。

target属性とは

今回、a要素のリンクURLをクリックする処理で重要になってくるのが「target属性」です。target属性とは、リンク先のページを同じウィンドウまたは新しいウィンドウで表示させるかを設定することができます。

どういうことかと言うと、例えば以下のリンクをクリックしてみてください。

target属性「_blank」のリンクをクリックする

<a href="http://www.vba-ie.net/element/linkclick.html" target="_blank">target属性「_blank」のリンクをクリックする</a>

こちらをクリックすると、新しいウィンドウで表示されたかと思います。こちらはtarget属性に新しいウィンドウで表示させる「_blank」を設定しているためです。

なぜこちらが重要かというと、新しいウィンドウで表示させた場合そのままでは新しいウィンドウは制御することができません。新しいウィンドウを制御するにはそのウィンドウのオブジェクトを取得する必要があります。

複数のウィンドウを操作する必要性がない場合は面倒ですので、今回のサブルーチンでは新しいウィンドウを開かなくていいようにtarget属性の設定も加えていきます。尚、以下がtarget属性の値の説明になりますので確認してください。

値	内容
_blank	新しいウィンドウで表示する
_self	現在のウィンドウで表示する
_parent	親フレームで表示する
_top	フレームの分割を解除してウィンドウ全体に表示する

利用するサブルーチン・プロパティ・VBA関数について

今回利用するサブルーチン・プロパティ・メソッド・VBA関数は以下になります。利用方法については処理の解説で行いますが、どのような機能を持っているのか簡単に目を通してください。

ieViewサブルーチン
ieCheckサブルーチン
Documentプロパティとは
Linksプロパティとは
outerHTMLプロパティとは
targetプロパティとは
Clickメソッドとは
InStr関数とは
MsgBox関数とは

ieViewサブルーチンとは

ieViewサブルーチンは指定したURL(アドレス)をInternetExplorerで起動させ、Webページが完全に読み込まれるまで待機処理をするマクロです。

ieView("IEオブジェクト","表示させたいURL(アドレス)の文字列","IE表示・非表示の値[省略可]","Y位置の値[省略可]","X位置の値[省略可]","幅の値[省略可]","高さの値[省略可]")

ieView

ieCheckサブルーチンとは

ieCheckサブルーチンは指定したInternetExplorerオブジェクトのWebページが完全に読み込まれるまで待機処理をするマクロです。

ieCheck("IEオブジェクト")

ieCheck

Documentプロパティとは

InternetExplorerオブジェクトのDocumentプロパティはHTMLドキュメントのオブジェクトを返すプロパティです。これによりHTMLドキュメントを操作することができます。

objIE.document.プロパティ/メソッド

Documentプロパティ

Linksプロパティとは

DocumentオブジェクトのLinksプロパティはHTMLドキュメント内のa要素オブジェクトのコレクションを返すメソッドです。

objIE.document.Links(添え字).プロパティ/メソッド

outerHTMLプロパティとは

要素オブジェクトのouterHTMLプロパティは指定した要素オブジェクトの要素タグとそのタグに含まれるHTMLコードを取得するプロパティです。

変数 = objIE.document.GetElementsByTagName("タグ名")(添え字).outerHTML

targetプロパティとは

Linksメソッドのtargetプロパティは指定したa要素のtarget属性の値を設定するプロパティです。

変数 = objIE.document.Links(添え字).target
objIE.document.Links(添え字).target = "設定するtarget属性の値"

Clickメソッドとは

LinksメソッドのClickメソッドは指定したa要素をクリックするプロパティです。

objIE.document.Links(添え字).Click

InStr関数とは

InStr関数はある文字列(string1)の中から指定した文字列(string2)を検索して最初に見つかった文字位置返すVBA関数です。

変数 = InStr(string1, string2)

InStr関数

MsgBox関数とは

MsgBox関数はダイアログボックスにメッセージとボタンを表示し、どのボタンが押されたかを示す整数型の数値を返します。

MsgBox "表示させる文字列"

MsgBox関数

指定した要素のリンクをクリックするサブルーチン「linkClick」の解説

こちらは、指定した要素のリンクをクリックするサブルーチンになります。

Sub linkClick(objIE As InternetExplorer, _
                   keywords As String, _
                   Optional ieTarget As String = "_self")
                  
  Dim objLink As Object

  For Each objLink In objIE.document.Links

    If InStr(objLink.outerHTML, keywords) > 0 Then
    
      objLink.target = ieTarget

      objLink.Click
      
      Call ieCheck(objIE)
      
      Exit For

    End If

  Next

End Sub

それでは、VBAコードを１つずつ説明していきます。

Sub linkClick(objIE As InternetExplorer, _
                   keywords As String, _
                   Optional ieTarget As String = "_self")

こちらはSubステートメントに引数を3つ設定しているlinkClickサブルーチンになります。こちらの構文と引数の内容は以下になります。尚、引数はすべて参照渡しで渡されます。

linkClick("IEオブジェクト","抽出する要素の一意のキーワード","target属性の値")

引数名	データ型	内容	値の事例	初期値	省略
構文	classValue(objIE,className,tagName,valueType)
objIE	InternetExplorer	InternetExplorerオブジェクトを指定します。	objIE, objIE2		×
keywords	String	抽出する要素の一意のキーワードを文字列で指定します。	"VBAのIE制御"		×
ieTarget	String	target属性の値を文字列で指定します。	"_blank"	"_self"	●

引数objIEは必須項目で、文書ドキュメントを抽出するnternetExplorerオブジェクトを指定します。InternetExplorerオブジェクトを引数に設定することで、複数のオブジェクトを処理することができます。

引数keywordsは必須項目で、抽出する要素の一意のキーワードを文字列で指定します。「抽出する要素の一意のキーワード」というのは、抽出したい要素データ内で他とまったく被らないキーワードのことを指します。

例えば下記の場合、「こちらは一意のアンカーテキストです。」というキーワードは他では利用されていないキーワードですので、こちらを「一意のキーワード」と判断します。他にも「アンカーテキストです。」「です。」も一意のキーワードとして利用することもできます。

こちらの詳細については、「文書ドキュメント取得の処理の考え方」を確認してください。

<a href="#a1">こちらは一意のアンカーテキストではありません。</a>
<a href="#a2">こちらは一意のアンカーテキストではありません。</a>
<a href="#a3">こちらは一意のアンカーテキストです。</a>
<a href="#a4">こちらは一意のアンカーテキストではありません。</a>
<a href="#a5">こちらは一意のアンカーテキストではありません。</a>

引数ieTargetは省略項目で、target属性の値を文字列で指定します。こちらに「_self」を設定すると現在のウィンドウで表示し、「_blank」を設定すると新しいウィンドウで表示します。

Dim objLink As Object

こちらは、変数宣言でメモリ領域を割り当てるDimステートメントを利用してオブジェクト変数objLinkに「オブジェクト型(Object)」を変数宣言しています。

先に説明すると、データ型はオブジェクト型(Object)を利用せず、より具体的なデータ型を宣言するほうがよいとされています。理由としては、補助入力機能など利便性のよさなどが挙げられます。

こちらについては本来であれば、「HTMLLinkElement型」または「HTMLDocument型」などを指定するのがよいのでしょうか処理速度の観点からいうと必ずしもよいというわけではなりません。

他にもいくつか検証したのですが、以下のようにHTML関連のデータ型を選択した場合とオブジェクト型(Object)ではどれもオブジェクト型(Object)を選択した方が処理速度が速い結果となりました。

ですので、こちらで解説している内容のほとんどはオブジェクト型(Object)を選択しています。特に変更してもらっても問題ありませんので、自由に変更してください。

回数・処理	オブジェクト型(Object)	HTMLLinkElement型	HTMLDocument型
1回目	27.3418秒	31.6074秒	31.9866秒
2回目	28.3105秒	34.0234秒	33.9478秒

  For Each objLink In objIE.document.Links

   （処理省略）

  Next

こちらでは、For Each～NextステートメントのコレクションにDocumentオブジェクトのLinksプロパティで取得したコレクションを設定しています。また、オブジェクトを格納する変数にはオブジェクト変数objLinkを設定しています。こちらでは、Linksプロパティで取得したすべてのa要素の要素数だけループ処理を行っています。

今回、Linksプロパティで全てのimg要素を取得していますが、以下のようにGetElementsByTagNameメソッドからも取得することができます。

For Each objImg In objIE.document.getElementsByTagName("a")

処理省略）

Next

Linksプロパティを採用したのは、処理速度にあります。以下は上記の各処理を5000回繰り返し処理をした時間を計測したものです。Linksプロパティの方が処理速度が速いのでこちらを採用しています。

回数・処理	Linksプロパティ	getElementsByTagNameメソッド
1回目	73.2813秒	78.9564秒
2回目	75.5124秒	80.2543秒
3回目	73.5421秒	77.6254秒
平均	74.1119秒	78.9453秒

   If InStr(objLink.outerHTML, keywords) > 0 Then

      objLink.target = ieTarget
      
      objLink.Click
      
      Call ieCheck(objIE)
      
      Exit For

    End If

こちらでは、If～Then～Elseステートメントを利用して要素内の文書ドキュメントに引数keywordsのキーワードが含まれていないかチェックしています。

キーワードが含まれているかをチェックするには、指定したキーワードで最初に見つかった文字位置を返すInStr関数を利用しています。要素の文書ドキュメントに「引数keywords」のキーワードが含まれている場合は「0」以上の値を返すので、比較演算子を利用して「0」以上の場合を条件式としています。

次に要素オブジェクトのtargetプロパティに引数ieTargetを設定しています。これにより、現在のウィンドウまたは新しいウィンドウで表示するかを決定します。

そして、要素オブジェクトのClickメソッドを利用して指定した要素のリンクをクリックします。この時に注意しなければいけないのは、クリックした先のページが完全に読み込まれるまで待機処理を行う必要があります。そこで完全に読み込まれるまで待機処理を行うieCheckサブルーチンにInternetExplorerオブジェクトを設定して、待機処理を行います。

尚、ページが完全に読み込まれるまでの待機処理については「指定したURLをIEで起動する」で詳しく解説していますので、確認してください。

クリック処理が完了するとループ処理をする必要がありませんので、ループ処理を回避するExit Forステートメントを利用してループから抜け出します。それでは、次にこちらのサブルーチンを利用して指定した要素のリンクをクリックしてみましょう。

「linkClick」を利用して指定した要素のリンクをクリックするサンプルコード

こちらのVBAコードは、linkClickサブルーチンを利用して指定した要素のリンクをクリックするマクロです。

Sub sample()

  Dim objIE  As InternetExplorer

  'a要素のリンクURLをクリックするページをIE(InternetExplorer)で起動
  Call ieView(objIE, "http://www.vba-ie.net/element/linkclick2.html")
  
  'リンクをクリックして同じウィンドウで表示する
  Call linkClick(objIE, "target属性「_blank」のリンク")
  
  MsgBox "現在のウィンドウで表示されているか確認してください。"
  
  'リンクをクリックして新しいウィンドウで表示する
  Call linkClick(objIE, "要素のリンクをクリックするサブルーチン", "_blank")

End Sub

クリックする要素のHTMLコード

<a href="http://www.vba-ie.net/element/linkclick.html" target="_blank">target属性「_blank」のリンクをクリックする</a>
<a href="http://www.vba-ie.net/element/linkclick2.html">エクセルVBAで指定した要素のリンクをクリックするサブルーチン >></a>

解説

Sub sample()

  Dim objIE  As InternetExplorer

こちらはSubステートメントに引数の設定がないsampleプロシージャになります。まずは、変数宣言でメモリ領域を割り当てるDimステートメントを利用してオブジェクト変数objIEに「InternetExplorer型」を変数宣言しています。

  'a要素のリンクURLをクリックするページをIE(InternetExplorer)で起動
  Call ieView(objIE, "http://www.vba-ie.net/element/linkclick2.html")

次に他のプロシージャを呼び出すCallステートメントを利用してieViewサブルーチンを呼び出しています。第一引数にはオブジェクト変数の「objIE」を第二引数には表示させるURL(アドレス)の「http://www.vba-ie.net/element/linkclick2.html」を設定しています。これによりInternetExplorerで指定したページが表示されます。

  'リンクをクリックして同じウィンドウで表示する
  Call linkClick(objIE, "target属性「_blank」のリンク")
  
  MsgBox "現在のウィンドウで表示されているか確認してください。"

こちらは、Callステートメントを利用してlinkClickサブルーチンを呼び出しています。第一引数にはオブジェクト変数の「objIE」を第二引数にはクリックする要素内の一意のキーワード「target属性「_blank」のリンク」を設定しています。

こちらでは第三引数が省略されていますのでtarget属性には規定値の「_self」が設定されます。これにより「target属性「_blank」のリンク」のあるリンクがクリックされ、現在のウィンドウで表示されます。表示が確認できたらメッセージボックスの「OK」をクリックしてください。

  'リンクをクリックして新しいウィンドウで表示する
  Call linkClick(objIE, "要素のリンクをクリックするサブルーチン", "_blank")

こちらも、Callステートメントを利用してlinkClickサブルーチンを呼び出しています。第一引数にはオブジェクト変数の「objIE」を第二引数にはクリックする要素内の一意のキーワード「要素のリンクをクリックするサブルーチン」を設定しています。

こちらでは第三引数に「_blank」が設定されています。対象のリンクは元々現在のウィンドウで開く処理なのですが、target属性に「_blank」を設定することにより「要素のリンクをクリックするサブルーチン」のあるリンクがクリックされ、新しいウィンドウで表示されます。

まとめ

今回は、文書ドキュメントの指定した要素のリンクをクリックするサブルーチンの作成について解説しました。クリック処理と併せてtarget属性の重要性についても理解できたかと思います。基本的には処理を円滑にするためにtarget属性を「_self」で処理を行います。新しいウィンドウで表示させたい場合は第三引数に設定しましょう。次回は、特定のimg要素データを連想配列に格納する方法について解説していきます。

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