Excelシートのスクロール

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こちらでは、WindowsコレクションオブジェクトSmallScrollメソッドLargeScrollメソッドを利用して、Excelのシートをスクロールする方法について解説しています。

メソッドとは、オブジェクトを操作する命令文のことでオブジェクトの動作になります。 メソッドを利用するにはオブジェクト名とメソッド名の間に「.(ピリオド)」で結んで記述します。

オブジェクト名.メソッド名

目次

はじめに

こちらでは、SmallScrollメソッドLargeScrollメソッドを利用したExcelのシートをスクロールする方法について解説します。

利用するメソッドについて

今回利用するメソッドは以下になります。

SmallScrollメソッドとは

WindowsコレクションオブジェクトのSmallScrollメソッド指定された行数分または列数分だけウィンドウをスクロールします。

Windows("ウィンドウ名").SmallScroll(Down, Up, ToRight, ToLeft)

LargeScrollメソッドとは

WindowsコレクションオブジェクトのLargeScrollメソッドウィンドウに表示されている範囲を1ページとして指定されたページ数分だけ、ウィンドウをスクロールします。

Windows("ウィンドウ名").LargeScroll(Down, Up, ToRight, ToLeft)

SmallScrollメソッドを利用して右下へスクロールするサンプルコード

今回のVBAコードはExcelのシートを右下へスクロールするマクロになります。



Sub sample()

    Windows("Book1").SmallScroll Down:=3, ToRight:=5

End Sub

※ドラッグ(スワイプ)すると全体を確認できます。

実行結果

ExcelのA1セルから下へ3右へ5の位置(F4セル)までスクロールします。

エクセルVBAのSmallScrollメソッドの結果1

解説

sampleプロシージャSubステートメントに引数は設定されていません。WindowsコレクションオブジェクトのSmallScrollメソッドには、引数Downに「3」、引数ToRightに「5」が設定されています。引数Downへスクロールする値を、引数ToRightへスクロールする値を設定するものですので、今回の処理はExcelのA1セルを基準に下へ3右へ5の位置にある「F4セル」までスクロールします。そして、最後はEndステートメントを利用してsampleプロシージャを終了させます。

ここで1つ注意しなければいけないのは、画面がスクロールされたとしてもアクティブセルの位置は変わりません。今回の事例もアクティブセルが「A1セル」のままになっています。スクロール後にアクティブセルに対して処理を行う場合は、注意しましょう。

SmallScrollメソッドを利用して左上へスクロールするサンプルコード

今回のVBAコードはExcelのシートを左上へスクロールするマクロになります。


Sub sample()

    Windows("Book1").SmallScroll Up:=2, ToLeft:=4

End Sub

※ドラッグ(スワイプ)すると全体を確認できます。

実行結果

ExcelのF4セルから上へ2左へ4の位置(B2セル)までスクロールします。

エクセルVBAのSmallScrollメソッドの結果2

解説

WindowsコレクションオブジェクトのSmallScrollメソッドには、引数Upに「2」、引数ToLeftに「4」が設定されています。引数Upへスクロールする値を引数ToLeftへスクロールする値を設定するものですので、今回の処理はExcelのF4セルを基準に上へ2左へ4の位置にある「B2セル」までスクロールします。

今回は、引数Up引数ToLeftを指定しましたが、以下のように引数Down引数ToRight負の値も設定することができます。こちらも同じ結果になりますので、ご確認ください。


Sub sample()

    Windows("Book1").SmallScroll Down:=-2, ToRight:=-4

End Sub

※ドラッグ(スワイプ)すると全体を確認できます。

また、こちらでは名前付き引数を使用して引数設定していますが、「,(カンマ)」区切りでの設定は以下のようになりますので、参考にしてください。


Sub sample()

    Windows("Book1").SmallScroll , 2, , 4

End Sub

※ドラッグ(スワイプ)すると全体を確認できます。

SmallScrollメソッドの引数を全て指定してスクロールするサンプルコード

今回のVBAコードはSmallScrollメソッドの引数を全て指定してExcelのシートをスクロールするマクロになります。


Sub sample()

    Windows("Book1").SmallScroll 5, 2, 8, 3

End Sub

※ドラッグ(スワイプ)すると全体を確認できます。

実行結果

ExcelのA1セルから下へ3右へ5の位置(F4セル)までスクロールします。

エクセルVBAのSmallScrollメソッドの結果1

解説

WindowsコレクションオブジェクトのSmallScrollメソッドには、引数Downに「5」、引数Upに「2」、引数ToRightに「8」、引数ToLeftに「3」が設定されています。引数Down引数Up引数ToRight引数ToLeftが共に指定されていた場合は、それぞれの値の差だけスクロールされます。

今回の事例では、上下スクロールは「5 - 2 = 3」だけ、左右スクロールは「8 - 3 = 5」だけスクロールされますので、ExcelのA1セルを基準に下へ3右へ5の位置にある「F4セル」までスクロールされます。このように全ての引数を指定してもスクロールできますが、ややこしいので一方だけを設定するようにしましょう。

LargeScrollメソッドを利用して右下へスクロールするサンプルコード

今回のVBAコードはExcelのシートを右下へ指定ページ分スクロールするマクロになります。



Sub sample()

    Windows("Book1").LargeScroll Down:=2, ToRight:=1

End Sub

※ドラッグ(スワイプ)すると全体を確認できます。

実行結果

ExcelのA1セルから下へ2ページ右へ1ページの位置(E11セル)までスクロールします。

エクセルVBAのLargeScrollメソッドの結果1

解説

WindowsコレクションオブジェクトのLargeScrollメソッドには、引数Downに「2」、引数ToRightに「1」が設定されています。LargeScrollメソッドは、表示されている範囲を1ページとして判断しますので、今回は縦5×横4セルの範囲を1ページとしています。引数Downへページ分スクロールする値を、引数ToRightへページ分スクロールする値を設定するものですので、今回の処理はExcelのA1セルを基準に下へ2ページ右へ1ページの位置にある「E11セル」までスクロールします。

こちらもSmallScrollメソッドと同様に画面がスクロールしてもアクティブセルの位置は変わりませんので、ご注意ください。

LargeScrollメソッドを利用して左上へスクロールするサンプルコード

今回のVBAコードはExcelのシートを左上へ指定ページ分スクロールするマクロになります。


Sub sample()

    Windows("Book1").LargeScroll Up:=1, ToLeft:=1

End Sub

※ドラッグ(スワイプ)すると全体を確認できます。

実行結果

ExcelのE11セルから上へ1ページ左へ1ページの位置(A6セル)までスクロールします。

エクセルVBAのLargeScrollメソッドの結果2

解説

WindowsコレクションオブジェクトのLargeScrollメソッドには、引数Upに「1」、引数ToLeftに「1」が設定されています。引数Upへページ分スクロールする値を引数ToLeftへページ分スクロールする値を設定するものですので、今回の処理はExcelのE11セルを基準に上へ1ページ左へ1ページの位置にある「A6セル」までスクロールします。

こちらも以下のように引数Down引数ToRight負の値が設定できますので、ご確認ください。


Sub sample()

    Windows("Book1").LargeScroll Down:=-1, ToRight:=-1

End Sub

※ドラッグ(スワイプ)すると全体を確認できます。

LargeScrollメソッドの引数を全て指定してスクロールするサンプルコード

今回のVBAコードはLargeScrollメソッドの引数を全て指定してExcelのシートをページ分スクロールするマクロになります。


Sub sample()

    Windows("Book1").LargeScroll 5, 3, 8, 7

End Sub

※ドラッグ(スワイプ)すると全体を確認できます。

実行結果

ExcelのA1セルから下へ2ページ右へ1ページの位置(E11セル)までスクロールします。

エクセルVBAのLargeScrollメソッドの結果1

解説

WindowsコレクションオブジェクトのLargeScrollメソッドには、引数Downに「5」、引数Upに「3」、引数ToRightに「8」、引数ToLeftに「7」が設定されています。引数Down引数Up引数ToRight引数ToLeftが共に指定されていた場合は、それぞれの値の差のページ分だけスクロールされます。

今回の事例では、上下スクロールは「5 - 3 = 2ページ」だけ、左右スクロールは「8 - 7 = 1ページ」だけスクロールされますので、ExcelのA1セルを基準に下へ2ページ右へ1ページの位置にある「E11セル」までスクロールされます。このように全ての引数を指定してもスクロールできますが、ややこしいので一方だけを設定するようにしましょう。

まとめ

今回は、WindowsコレクションオブジェクトのSmallScrollメソッドLargeScrollメソッドを利用して、Excelのシートをスクロールする方法について解説しました。引数によっては、負の値を設定できるメソッドもありますので覚えておきましょう。次回は、エクセルVBAでExcelシート名を変更する方法について解説します。

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ExcelのVBAについてのQ&A掲示板

↑ExcelのVBA全般について分からない事があればこちらの掲示板よりご質問ください。

VBAのIE操作入門

↑ExcelのVBAをマスターできたら、エクセルVBAのIE操作にも挑戦してみてください。

目次

VBAのステートメント

こちらでは、エクセルVBAの事例で利用したステートメントをまとめたものです。ExcelのVBAには様々な機能が用意されていますので一度ご確認ください。

VBAのオブジェクト

こちらでは、エクセルVBAの事例で利用したオブジェクトをまとめたものです。ExcelのVBAには様々な機能が用意されていますので一度ご確認ください。

VBAのプロパティ

こちらでは、エクセルVBAの事例で利用したオブジェクトのプロパティをまとめたものです。ExcelのVBAには様々な機能が用意されていますので一度ご確認ください。

VBAのメソッド

こちらでは、エクセルVBAの事例で利用したオブジェクトのメソッドをまとめたものです。ExcelのVBAには様々な機能が用意されていますので一度ご確認ください。

VBAのイベント

こちらでは、エクセルVBAの事例で利用したオブジェクトのイベントをまとめたものです。ExcelのVBAには様々な機能が用意されていますので一度ご確認ください。